踵(かかと)は、着地すべきポイントではありません。
これは、踵を着かずに、つま先だけで着地しなければいけないということではありません。
踵から入り過ぎないように、意識をすることが大切なのです。
ランニングシューズを選ぶ際のポイントは、クッション性が高いシューズを、避けることです。
クッション性の高いシューズは、踵着地をしやすく作られているからです。
踵から入らないよう意識しても、やりにくいのです。
普段履いているクッション性の低い革靴の方が、圧倒的に前着地がしやすいことは、体験的にわかります。
クッション性が高ければ高いほど、ヒールストライカーになるのです。
着地面が軟らかいと、足が安定しにくいからです。
無意識にも安定を求め、踵から強く踏み込みたくなるのです。
ホノルルマラソンへの出場を決心した時、練習するためのシューズを選びに行きました。
売り場に行くと、サブ3の方用、サブ4の方用、サブ5の方用と、分けて置かれていました。
店員さんは、「サブ5の人はクッションが厚い方がいいですよ」と薦めます。
各シューズの何が違うかというと、足底のクッションの高さです。
サブ3に近づくにつれ、踵のクッションが低くなっています。
「速く走れる人は、踵のクッションに頼らない」ということを意味します。
クッションがあるということは、底が軟らかいということです。
着地面の軟らかい場所では、安定感を得ようとして、無意識にも踵から強く入ります。
着地面が軟らかければ、軟らかい部分を突き抜けるように力をかけないと、地面を蹴れないのです。
軟らかい場所では、反発力が生まれないからです。
クッションが厚ければ厚いほど、強く踏み込んでしまうのは、そのためです。
「初心者はクッションを厚くしましょう」というのは、おかしいです。
初心者だからこそ、クッションに頼らない走りを、身体で覚えれば良いのです。
ブラジルはサッカーが強いです。
サッカーが強いというより、足が強いのです。
子どもの頃から、固いアスファルトの上で、裸足でボールを蹴っているのです。
足が地面やボールから、ダイレクトに情報を拾うのです。
足の感覚が優れているのは、そのためです。
守れば守るほど、本来の使い方が必要なくなります。
ステロイドを使えば、自分自身の身体で副腎皮質ホルモンが作れなくなるのと同じです。
補えば補うほど、補った場所の機能が弱くなるのです。
より自然な方を選べば、間違うことはないのです。
【美しい脚になるために4】
クッションに頼らないシューズを、選ぼう。
P.S.
アスファルトや土を、裸足で体感する講座を開きます。