首の痛みや肩の痛みで気を付けねばならない病気
「椎骨動脈解離でした。」
2023年に1件、通っている方からお聞きしました。
首から脳へ向かう椎骨動脈の膜が剥がれ、別の血管ルートができる病態です。
血栓症やくも膜下出血に繋がる可能性があるとても危険な状態と言えます。
心臓外科のニューハート・ワタナベ国際病院のホームページより抜粋
https://newheart.jp/glossary/detail/cardiovascular-surgery_014.php
病名自体は知っておりましたが、直接耳にすることは初めてでした。
ここ最近はSNS、ネットニュースでは目にしますが、常連さんの口から聞くことになるとは思ってもみなかったのが実際なところ。
40代の方です。
「首と肩が痛いです」と1年振りにご来院。
治療院や整体院を運営していれば、毎日のように聞いている、極々ふつうの症状です。
今後、首の痛み、背中の痛み、肩の痛みなどを診る際に、椎骨動脈解離や大動脈解離は、常時、頭に入れておかねばならない病名だと思います。
確率的には稀ケースでしょう。
しかし間接的には循環器系の疾患を耳にすることが増えております(皆さんも身近なところから聞きませんか??)。
感覚としては、「いよいよ身近な方の中にも出て来たな」というのが本音です。
この病名を聞いたということは、今後、今まで以上に気をつけて施術に当たらねばならないと感じております。
左肩や左背中の急激な痛みは、即病院へ
正直なところ、上記の首の痛みを訴えて来院された方に関しては、私は全く椎骨動脈解離を疑いませんでした。
特別に激痛の様子はなく、いわゆる「かるい寝違い」くらいな動きでしたので。
可動域の検査では大きな痛みを訴えることもありませんでした。
その方の場合、「念のため病院へ行ったら」と、後日ご連絡を頂いたことで知りました。
そのことがきっかけとなり、椎骨動脈解離について調べておりました。
この経験は私にとって大きな勉強となりました。
どうすれば見落とさずに済むのか?
これはかなりの難題とも言えると思います。
いわゆる教科書通りの症状があるとも限りません。
今回のように、比較的ふつうに動かせるケースもあるわけで、完全に見落とさずにいられるとは限りません。
ただ、可能性をお伝えすることはできます。
怖がらせてはいけないと思いますが、「こういうケースもあったから」を伝えることはとても大切なことだと思うのです。
よく似ている例として、左肩や左の背中に激痛がある場合は、心疾患を必ず頭に入れなければなりません。
大動脈解離や心筋梗塞の可能性を考えます。
2022年に私自身が急に左胸が苦しくなったことがありました。
「トンッ」という感覚が約1分ほど続き、かるい貧血のようになったのです。
半年以上前から、胸や左背中に、「おかしいなぁ」と感じていたこともありました。
「心臓悪いかもな」と。
翌日、治療院近くの循環器の病院を受診し心電図を撮ったところ、「心筋梗塞の疑い」を言われました。
「簡易血液検査の結果次第で即緊急手術が必要かもしれません」とまで言われました。
結果的にはトロポニンT反応陰性で、事なきを得たのですが。
後日エコー検査も問題ないとのことで、以来何事もなく現在に至ります(現在は特に異常を感じることはありません)。
この体験から、心筋梗塞や大動脈解離を調べていた経緯があり、左肩や左背中に激痛がある場合は、今まで以上に必ず病院での検査を薦めるようにしております。
また上記の椎骨動脈解離の件もあったため、激痛でなくても、可能性は考えるようになりました。
「何かいつもと違う違和感がある場合は、すぐに病院へ行ってね」と。
それで何事もなければ安心なわけですから。
他にも肩の痛みと共に発熱が出ている場合などは、細菌感染や自己免疫疾患を疑います。
自己免疫疾患も現在増えているというニュースもあります。
肩や背中の痛みだから、筋肉や関節の問題とは限りません。
自分のためだけでなく、身近な大切な人を救うためにも、頭に入れておいて頂きたい事例です。