五十肩です。施術して頂いたら良くなりますか?
どこで何をしてもダメで、諦めておりますが
このようなメールでの問い合わせは、よく頂きます。
会ったこともなければ、現在の経過状況も解らない。
そんな問い合わせが良くありますm(_ _;)mお気持ちは解かりますが。
この手のメールに対して、本気解答をしても、返信すらないのが9割です。
今回も返信はありませんでした(-_-)
「せっかくの本気解答を無駄にしないために、コラムにしちゃえばいいのでは!!」
そう思いついたのでありました。
返信メールをコラム用に改良しつつ、解決への近道を綴っておこうと思います。
メールをくれた方は、「硬縮期」と予想
「どこで何をしてもダメ」とのことですから、いくつかの整体院や接骨院、鍼灸院などを回ったのでしょう。
おそらく、炎症期(激痛の時期)は過ぎて、硬縮期と言って肩が一定以上動かない(上がらない)状況かと思います。
もちろん、動かした際には痛みもある状況です。
現状が、治癒過程のどのプロセスにあるのか?
治癒過程のどの段階かで、施術の効果は変わってしまいます。
バリバリの炎症期真っ只中では、「どこで何をしてもダメ」ということになってしまいます。
また、硬縮期と呼ばれる、比較的強い痛みが引いた後でも、「可動域を広げたい」という一心であれば、やはりそんなすぐには可動域が広がることはありません。
その視点からでは、「どこで何をしてもダメ」ということになってしまいます。
五十肩は激痛故に、「早く何とかしたい!!」という気持ちになることは重々承知しております。
しかし、風邪と同様。
風邪薬や解熱剤などで症状を抑え込んでいると却って治らず長引いてしまうのと同じで、ある程度はきちんと痛みと向き合わざるを得ないのが現実です。
薬では一切、組織の修復は起こらないからです。
「痛みを止める」ということは、「治癒力を止める」と同義である。
まず、あらゆる痛みにおいて、この定義を頭に刻み込むことが大切です。
きちんとした経過を辿らないことには、「右肩が治ったら、今度は左肩が五十肩になりました」ということになり兼ねません。
五十肩になってしまった場合の対峙の仕方。
また、ご自身で回復を促進させるためにできることを、以下に記していきます。
五十肩は、「生活習慣病」とお考え下さい。
まず、五十肩と言っても、Aさんの五十肩とBさんの五十肩ではまったく表情が異なります。
治るは、治る。
ただ辿る経過は、日々の生活習慣(寝る・食べる・動く)や、性格にも大きく左右されます。
「性格?」と思う方もいると思うのですが、その方の心の在り様で、回復力は激変してしまうのが身体です。
あくまで一例ですが、日々イライラしている方はなかなか治らない。
これは自律神経に支配されている免疫機能上、仕方のないことです。
「イライラするな」と言ってもイライラしてしまうのが人間でしょう。
その方の育ってきた環境や、今現在置かれている立場や状況など、いろいろ関与するわけです。
「人間とは精神である。」
あらゆる病状の経過は、当然、筋肉や骨格や神経だけでは語れないのです。
ズバリ、五十肩は生活習慣病です。
もちろん、転倒などのケガをきっかけに始まるケースもございますが、「何もしてないのに」徐々に痛みが増していく場合の方が多いのです。
糖尿病を患っている方に五十肩が非常に多いことは、医学的に証明されている事実です。
やはり五十肩は生活習慣病です。
且つ、過剰な糖質生活が、五十肩を長引かせることは、言うまでもありません。
五十肩改善への最短距離
改善への近道として、以下を気をつけてみて下さい。
①ストレッチは、止めましょう
よく、「動かさないと硬くなる」と煽られてしまうのですが、痛みを我慢して動かしていると、どんどん慢性化します。
肩を動かす運動を行なう際は、基本的に「痛みの出ない範囲内」でお願い致します。
②よく歩きましょう
ほとんどの場合、普段からあまり歩かない方が五十肩になります。
歩くことで、肩や首なども自然な範囲で動くことになります。
直接肩を動かすエクササイズよりも、圧倒的に安心安全な回復が見込めます。
よく歩く、階段を使うなど、「脚をよく使う生活」で、改善が早まります。
③糖質の摂り過ぎを止める
関節が糖化することで、五十肩になります。
体内に余剰な糖分が残ると、関節を構成するコラーゲン線維に糖が結びつき、関節の本来あるべき組成を壊してしまいます。
関節がコゲている状況とお考え下さい。
糖質を従来の半分に減らすだけでも、修復力は高まります。
②の「よく歩く」こととも通ずる点です。
④湿布薬など、痛み止めの使用を止める
湿布薬や痛み止めを使っていると、自律神経の交感神経が過剰に優位となり、血行不良を起こします。
痛めている組織の回復が大幅に遅れます。
激痛が続く急性期が過ぎているのであれば、使用は避けて下さい。
⑤睡眠前の食事は絶対にNG
睡眠3時間前までに、食事は済ませましょう。
睡眠時に身体の修復が起こりますが、夜食べてすぐ寝る生活ですと、筋肉や関節の修復が起こりません。
理由は、睡眠時に、内臓(消化器)に血液を奪われてしまうからです。
修復には血液循環による栄養供給などが常に必要となります。
炎症期の激痛は、ある意味、患部に血液を運んで「組織を治そうとする反応」でもあります。
痛みは辛いのですが、ある程度は受け入れないと回復が遅くなります(④に通じますね)。
正し、炎症期真っ只中で、夜間痛が酷い時はやせ我慢をせずに、消炎鎮痛剤を頼りましょう。
これは、必要悪です。
痛みで眠れないことも身体にとっては当然ストレスであり、身体も休まりません。
この辺りは程度を見て、上手くやり過ごすことが大切です。
きちんと五十肩に精通している方にアドバイスを求めましょう。
他にもできることはありますが、まずはこの5点を見直して頂けると、回復期にスムーズに入っていきます。
炎症期や硬縮期の過ごし方を間違うと、人によっては3年以上もツライ痛みに悩まされるケースもございます。
その多くは、「過度に痛みを嫌い、薬の多用、ストレッチのし過ぎ」によるものがほとんどです。
頑張り過ぎないように気を付けて下さい。
当院の見解と整体施術の方向性
当院では、整体施術で、四十肩・五十肩対応を行なっております。
肩自体を直接動かす施術を繰り返していると、却って症状が長引いてしまうことがあります。
ほとんどの場合、肩自体にはノビシロは少ないです。
肩を直接ではなく、連関する首や肩甲骨、股関節、肘関節など、肩と周囲の連動性を高めて置くことが大切です。
肩を護るために、「周囲の環境を整えておく」ということです。
当院には五十肩など凍結肩(フローズンショルダー)という激痛の方も良く来られますが、上記①~⑤がほぼ9割型当てはまります。
まずは上記5つを徹底的に見直して下さい。
五十肩は、急いで痛みを取ろう、早く腕が上がるようにしようと焦ってはいけません。
おツライ気持ちは重々承知ですが、薬などで痛みを抑えにかかり過ぎると、今度は逆側の肩に炎症が起こる方もいます。
または、ギックリ腰をやったりと。
これは逆側に負担が掛かったからではありません。
本来あるべき炎症を、薬で無理矢理抑えることによって、「炎症がないとオカシイ」と身体が判断するのではないかと考えられております。
施術をする場合、肩が上がるように施術をするのではなく、まずは身体全体の立てつけを直し、環境整備を図る必要があるかと思います。