「真っ直ぐにしよう」とするから、身体が窮屈になる。

身体の左右差とは、
①見た目の左右差
②動きの左右差
の2つです。
人には独自のクセがあります。
独自のクセが、動きの左右差であり、見た目の左右差となるのです。
左右差は、『歪み』ではありません。
ただの『クセ』なのです。

たとえば、右肩が下がっているとします。
この時に、左右の肩の高さを揃えようと意識して生活しても、意味がありません。
かえってバランスを崩すことになるのです。

MOMA写真①
写真①は、当院の受付にあるオブジェです。
これを見て、「歪んでるな」と感じる人はいないハズです。
個性的であり、芸術的なバランス力を感じるのではないでしょうか。
15個の小さなイスが、絶妙なバランスのもと、積み上げられています。
左右対称ではありませんが、『歪み』ではないのです。
微妙なバランス関係のもと、成り立っているのです。

身体もこのオブジェに似ています。
見た目の左右差を揃えることだけに意識が向くと、バランスが崩れます。
右肩が下がっているからと、左肩を下げる意識で生活していたら、身体はおかしなことになります。
別の場所に、左肩を下げるための、無駄な労力がかかるからです。
外見は真っ直ぐに見えても、身体の内側から観察すると、無理があるのです。
その人の現状においては、『右肩が下がっていることで』、全体としてバランスを取っているのです。

では、どうすれば見た目の左右差を小さくできるのでしょうか。
あらゆる自分の動きを、観察すればよいのです。
左右差は、ゼロにはなりませんが、ゼロに近づけていくことは可能です。
あらゆる自分の動きを観察するプロセスで、身体のバランスがとれていくのです。

たとえば、イスに座ったまま、身体を左右にひねってみます。
どんなに柔軟性のある人でも、身体の内側から観察してみると、左右差があることに気づきます。
「右はここまで行けるけど、左は少しきついな」ということがわかるのです。
これが、『自分の現状を知る』ということです。
身体をひねってみたことで、自分のことを、ひとつ知ったことになります。
前屈をすれば、太ももの後ろのハリ感に、左右差があります。
後屈をすると、左右の腰の辺りで、感じ方が違うかもしれません。
ラジオ体操でやる側屈運動も、脇の伸び方に、左右差を感じるでしょう。
いろいろな動きをしてみると、身体から『クセ』の発見があるのです。
柔軟性を出していくことが大切なのではありません。
自分の身体が持っている『クセ』に、気づくことが大切なのです。
ふたつ、みっつと、自分の現状を知っていくプロセスで、見た目の左右差も、小さくなっていくのです。

【姿勢が生まれ変わる、身体との付き合い方2】
開脚して、左右差に気づこう。

P.S.
私は施術中、背骨をチェックする際は、左側に立つことが多いです。
あえて右側に立って、身体の使い方の違いを、観察しています。
これも『自分の現状を知る』ことなのです。
いつもと違う動きの中で施術をすると、普段していることが新鮮に感じます。

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