自律神経ってどんな神経?
「自律神経ってどんな神経なの?」と聞かれれば、一言で「内臓の働きを調整している神経」と言えます。
寝る前に食事を摂ったとしても、睡眠中も消化器系は活動し続けるわけです。
朝の尿が濃いのは、睡眠中に体内の余剰物を腎臓がろ過しているからです。
最近耳にする機会が増えた「免疫力」さえも、自律神経のコントロール下にあります。
全身の臓器と繋がり、体内環境を常に守っているのが自律神経なのです。
自律神経と筋骨格系症状の関係
自律神経の乱れが腰痛や肩こりなどの筋骨格系症状にも繋がります。
「内臓の働きを調整しているのが自律神経」ですから、血管の収縮と拡張もコントロールしております。
精神的な過緊張状態が続けば、筋肉や関節への血液(栄養)供給が乏しくなることも考えられます。
腰痛や肩こり、膝の痛みなどの疾患になっても何もおかしくありません。
理想的な自律神経バランスとは
ご存じの方も多いように、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。
昼間の活動時には交感神経が優位に働き、夜に向かい活動が落ち着くにつれ副交感神経が優位に働くという大まかな日内リズムがあります。
誤解が多いのですが、「昼間は交感神経だけが働き、副交感神経はシャットダウン状態になっているのが良い」という認識は大きな間違いです。
同様に、「夜は副交感神経だけが働くのがベスト」という間違った認識をされている方も、とても多いようです。
実際は、昼夜問わず、「交感神経も副交感神経も常に高いレベルで働いているのがベスト」です。
両者が高いレベルで働きながら、昼間は全体を通して交感神経が少しだけ優位、夜は副交感神経が少しだけ優位に働く、というのがベストなのです。
そんな日内リズムの中で、シーソーのようにバランスを取り合っているのが両者と言えます。
では、そのようなシーソー関係にある自律神経が乱れると、どのような症状が現れるのでしょうか。
主な自律神経症状とは?
自律神経の乱れは、心身にさまざまな影響を及ぼします。
- 慢性的な疲労
- 頭痛やめまい
- 睡眠障害
- 消化不良や胃の不快感
- イライラや不安感
- 腰痛や肩こり
- ホットフラッシュ(のぼせや急な発汗)
- 手足の冷え
- 集中力の低下
- 動悸や息切れ
- 便秘や下痢
- 感情の起伏が激しくなる
- 目の疲れや視力の低下
- 不安定な体温調節(急に暑くなったり寒くなったり)
- 音や光に過敏に反応する
- 耳鳴り
- 背中や肩のこり
- 口の乾きや異常な渇き
- 体重の増減
- むくみ
- 関節痛
- 冷や汗や多汗
自律神経失調症チェック
以下の質問に答えて、現在の自律神経の乱れ度をチェックしてみましょう。
各質問に対して「はい」または「いいえ」で、お答え下さいね。
No. | 質問項目 | はい | いいえ |
---|---|---|---|
1 | 朝起きるのが辛く、起床後も疲れが取れないことが多いですか? | ||
2 | 日中に急に眠気が襲ってくることがありますか? | ||
3 | 仕事や家庭でストレスを強く感じることが多いですか? | ||
4 | 食欲が不安定で、食事が美味しく感じられないことがありますか? | ||
5 | 頭痛やめまいを頻繁に感じることがありますか? | ||
6 | 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めることがありますか? | ||
7 | 消化不良や胃の不快感を感じることがありますか? | ||
8 | イライラや不安感を感じることが多いですか? | ||
9 | 腰痛が慢性的に続いていますか? | ||
10 | ホットフラッシュ(のぼせや急な発汗)を感じることがありますか? | ||
11 | 手足が冷えやすいですか? | ||
12 | 集中力が続かず、物事に取り組むのが辛いと感じますか? | ||
13 | 動悸や息切れを感じることがありますか? | ||
14 | 常に緊張感があり、リラックスできないことがありますか? | ||
15 | 便秘や下痢が続くことがありますか? | ||
16 | 疲れが取れず、体が重く感じることが多いですか? | ||
17 | 感情の起伏が激しく、落ち込みやすいですか? | ||
18 | 目の疲れや視力低下を感じることが多いですか? | ||
19 | 不安定な体温調節(急に暑くなったり寒くなったり)を感じますか? | ||
20 | 音や光に過敏に反応してしまうことがありますか? |
【以下はあくまで目安です】
- 「はい」が0~5個:自律神経のバランスは比較的安定しています。ただし、油断せずに健康管理を続けましょう。
- 「はい」が6~9個:自律神経の乱れが見られます。生活習慣を見直し、ストレスを軽減する(上手に付き合う)ための対策が必要です。
- 「はい」が10個以上:自律神経の乱れがかなり見られます。専門家の適切なアドバイスの下、対策を取る必要があります。
自律神経バランスが乱れる原因
原因はシンプルです。
「寝る」「食べる」「動く」の3つの乱れが根本原因となります。
- 夜更かしばかりしている
- 寝てばかりいる
- 食べ過ぎ飲み過ぎ
- 添加物過多や偏った栄養
- 座りっぱなしの生活
- 運動のし過ぎ
この対極の波を均す必要があります。
もちろん、これらが複合的に絡み合ってもいるでしょう。
なんでも「過ぎれば」問題として現れます。
「健全なる肉体に、健全なる精神が宿る」と言いますが、いわゆる精神的なストレスさえも肉体の乱れから起こると考えられます。
肉体の健全性を保つ大前提として、「寝る」「食べる」「動く」を見直すことが大切です。
以下は、一般論として自律神経失調の原因となるものです。
1. ストレス
ストレスは自律神経のバランスを崩す最大の要因のひとつと言えます。
仕事や家庭、人間関係のプレッシャーが長期間続くと、交感神経が常に優位になり、副交感神経とのバランスが崩れます。
慢性的な疲労感や不眠症、消化不良などが引き起こされるケースが多々あります。
2. 不規則な生活習慣
生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを大きく崩します。
糖質過多の食習慣、夜遅い食事、酒、夜更かし、長時間のスマートフォン使用は、結果として交感神経を刺激し続けます。
3. 運動不足
適度な運動は、自律神経のバランスを整えるために重要です。
運動不足は、血行不良や筋肉の緊張を引き起こし、交感神経が過剰に働く原因となります。
また、運動不足による体力低下も、疲れやすさやストレスへの抵抗力低下につながります。
4. 栄養バランスの偏り
栄養の偏りは、自律神経の機能に直接影響を与えます。
特にビタミンB群やマグネシウムなどの栄養素は、自律神経の調整に必要不可欠です。
これらの栄養素が不足すると、神経伝達物質の生成が滞り、神経の働きが鈍くなります。
また糖化により生成されるAGEs(終末糖化産物)という老廃物も自律神経系を傷める原因となります。
5. 環境の変化
引っ越しや転職などの環境の変化、季節の変わり目などは、自律神経に大きな影響を与えます。
新しい環境に適応するためのストレスや、気温や湿度の変化は、交感神経と副交感神経のバランスを崩す原因となります。
6. 睡眠不足
睡眠は自律神経系の回復に必要不可欠です。
十分な睡眠が取れないと、交感神経が常に優位になり休まらない状態が続きます。
睡眠不足が免疫力の低下や体調不良を引き起こすことは周知の事実です。
7. 心理的要因
過去のトラウマや長期的な不安や恐れ、抑うつなどの心理的要因も、自律神経の乱れに深く関わっています。
これらの心理的ストレスは交感神経を過剰に刺激することとなります。
8. ホルモンバランスの乱れ
特に女性の場合、ホルモンバランスの変化(月経周期や更年期)は、自律神経に大きな影響を与えます。
ホルモンバランスの乱れは、体調や気分の変動を引き起こし、自律神経のバランスを崩しやすくなります。
実際はこれらの要因が複雑に絡み合っているのです。
改善するためには、これらの要因を理解し、日常生活でできる対策を心がけることが重要です。
自律神経失調と整体治療
当院は整体治療により自律神経に働きかけるアプローチを行なっております。
特に脊柱事態に直接的な賦活刺激を入れることは最重要となります。
脊柱に弾力を生み出すだけでも、脳脊髄液などのリンパ循環に影響を与えることでき、リラクゼーション効果としても高いものがあります。
現代疾患のほとんどが交感神経過剰病とも言えます(アトピーなどアレルギーは副交感神経過剰傾向)。
今や日本人の二人にひとりがかかるという癌は、交感神経過剰病の最たるものと言えます。
脊柱への刺激が過剰な交感神経優位を副交感優位へと切り替えてくれます。
整体治療後はよく眠れるという声を頂くのはそのためです。
整体治療において、最も自律神経系に働きかけることができるのが、呼吸の管理です。
肺の活動も自律神経に支配されていますが、唯一、自分でコントロールできるのが呼吸です。
つまり呼吸の管理さえ上手に行うことができれば、それだけで自律神経系の乱れが均されていくことは、十分期待できるのです。
当院の自律神経対応の整体施術とオプション
- +猫背巻き肩矯正(+1,650円):深い呼吸の管理を行ないます
- +食いしばりケア(+1,650円):過剰な交感神経優位の緩和、咬筋、側頭筋の緩解
- +小顔整体(+6,600円):眠りが浅い方、寝ても疲れが抜けない方
※小顔整体は単体でも受けることができます
これらに自律神経に最有効のツボ刺激を用いた整体施術を行ないます。
特に骨盤(仙骨)の安定、胸郭の可動域調整、頸椎の不整列を整えることに重きを置いて整体施術を行ないます。
自律神経施術における重要なお知らせ
当院では自律神経失調の緩解を促すための整体施術を提供しておりますが、中度以上の精神疾患(パニック障害や重度の鬱症状、激しい情緒不安定など)をお持ちの方には、専門の医療機関での治療をお勧めしております。
臨床経験上、中度以上のメンタル疾患に関しては、ハッキリとした整体効果は薄いものと理解しております。
現在、メンタルクリニックに通院中の方で、精神的な問題で深刻な状況にある方は、まずは主治医にご相談の上、適切な医療機関での治療を受けていただくことが最も大切です。
あくまで整体における身体へのアプローチが主となります。
ご理解のほど、宜しくお願いいたします。
自律神経と糖質過多の関係について
当院は以前より筋骨格系の痛み(関節痛・過労筋による痛みなど)と糖質過多の状態が深い関係の下に成り立っていることを提唱しております。
特に繰り返すギックリ腰や、強烈な寝違え、五十肩、ヘバーデン結節などの末端の関節痛、変形などは「糖質過多により生成されるAGEsという老廃物の蓄積」を意味しております。
整体施術でのケアと共に、ちょっとした生活の心がけで体質を変えていくことは、決して難しいことではございません。
定期的に健康コラムを更新しております。
以下も自律神経を賦活するためにご一読して頂けると幸いです。